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映画ノート

美しき諍い女(いさかいめ)


 
1991年(フランス)
監督:ジャック・リヴェット
出演:ミシェル・ピッコリジェーン・バーキンエマニュエル・ベアールマリアンヌ・ドニクール
【ストーリー】
孤高の画家リベットは、自らの最高傑作“美しき諍い女”を描こうと妻をモデルにするが完成直前に破棄してしまう。そして10年後。彼の前に、若いモデル、マリアンヌが現れた事から彼は再び“美しき諍い女”の仕上げにとりかかるが……。(Allcinemaより)
フランス映画祭り 6本目  
■感想
今日はジャック・リヴェット監督による『美しい諍い女
フランスの小説家オノレ・ド・バルザックの短編小説『知られざる傑作』を原作とする作品です。
 
高名だが、今は世捨て人のように暮らす老画家リベット(ミシェル・ピコリ
彼は妻をモデルに描こうとした「美しい諍い女」を完成寸前で破棄して以来絵を描いていない。
新進の若い画家とともにアトリエを訪れた美しいマリアンヌ(エマニュエル・ベール)との出会いは
リベットに10年ぶりに「美しき諍い女」を描くことを決意させた。
 
なんと4時間近い映画で、その大半が絵を描くシーンです
BGMもなく、ひたすらスケッチブックにペンでカリカリとデッサンしたり
キャンバスに木炭で輪郭を描く音が響くだけなのに 何故かちっとも飽きない
 

勿論モマリアンヌを演じるエマニュエル・ベアールの美しい肢体に魅せられるのもあるけど
ややサディスティックに様々なポーズをとらせるリベットと
それに応えるマリアンヌの内なる攻防に目が離せないんです
 
最初は憤りに近い目でリベットを睨んでいたマリアンヌが
いつしかリベット以上に絵の完成を望むようになるのが面白い
 
しかし二人が絵に没頭すればするほど、リベットの妻とマリアンヌの恋人は気を揉むことに。
そしてマリアンヌも「自分は身代わりにすぎないのか」と葛藤し
絵を描くというそれだけのシーンに、4人の複雑な思いが交錯し、緊張を呼ぶんです。
 
「顔を描くと言われたら断りなさい」
マリアンヌに警告するその一言に、妻の思いが表れ
完成した絵にその勝敗が見てとれる
 

芸術を生み出すというのは、気力の要ることだと痛感するし
それは描かれるものを含め、人の人生をも変える危険をはらんでるんですね。
 
DVD2枚組という長さを感じさせない作品でした
自然に囲まれた古いアトリエの佇まいの素敵なこと!
舞台は憧れのプロバンスだとか。行ってみたい~。