しまんちゅシネマ

映画ノート

瞳の奥の秘密

 
 
2009年(アルゼンチン)
監督:フアン・ホセ・カンパネラ
出演:リカルド・ダリン/ソレダ・ビジャミル/パブロ・ラゴ/ハビエル・ゴディーノ/カルラ・ケベド/ギレルモ・フランセーヤ
 
 
新婚間もない美しい人妻が自宅でレイプ殺人にあうという事件がおき
刑事裁判所のベンハミン(リカルド・ダリン)が捜査に当たった

それから25年
刑事裁判所を定年退職したベンハミンは、
25年前の忌まわしい事件を小説として執筆し始める・・・
 
これは良かったなぁ。
事件の真相を追うというサスペンスフルなプロットを持ちながら
これは25年越しの愛を描くラブストーリーでもあります。
 
 
新妻を殺された夫の執念と愛の深さが、
主人公の犯人探しへの意欲を掻き立て
と同時に、彼は胸に仕舞ってきた上司イレーネ(レダ・ビジャミル)への思いも
掻き立てられることになります。
ところが、密かに思い合いながらも、一緒にはなれない二人。
おそらくベンハミンはマイノリティの出身で、身分の違いが障害となっているようす。
 
そうして愛を封印してしてしまうものの、断ち切れない想いはずっと引きずっていたんですね。
 
 
外国映画を観ることの面白さに、その国の文化に触れ、知らないことを知るというのがあります。
この映画でも、警察と裁判所が一緒になったようなアルゼンチンの司法制度に驚いたし
混乱の時代ゆえか、政治との癒着や、
姓だけで卑しい身分と判断されてしまう人種差別の実態などが垣間見れたのも興味深いところ。
サッカーの試合の熱狂振りにも、やっぱり強いわけだなぁと感じたしね。
 
愛するということは複雑で、時にはとてつもない愛憎を生みます。
それでも、虚無の中に生きるよりは・・・
 
新たな扉を開こうとするラストには、(映画では扉を閉めますがw)
心地よい感動がありました。
 
主人公と相棒役との友情の描き方も良し。
時にユーモラスに、時に緊張感たっぷりにと、緩急のバランスもよく、面白い作品でした。