しまんちゅシネマ

映画ノート

レイジング・ブル


 
1980年(米)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ/キャシー・モリアーティ/ジョー・ペシフランク・ヴィンセント/ニコラス・コラサント/テレサ・サルダナ
 
■感想
今頃観たんかいシリーズ いきます♪
今日はマーティン・スコセッシ監督の『レイジング・ブル』を。

ロバート・デ・ニーロが実在のボクサーを演じ、オスカーをゲットした作品ですね。

冒頭 静かでドラマティックなオペラの曲が流れる中
もやに包まれたようなリングで シャドーボクシングしながらゴングを待つボクサーの図
そのスローモーション映像が美しく、いきなりハートを掴まれた気分でした。
 
これはロッキーのように、チャンピオンに上り詰めるタイプの映画ともちと違う。
栄光よりもむしろ破滅に向かっていく姿を描くヒューマンドラマでした。
ブロンクスの怒れる猛牛と呼ばれたジェイク・ラモッタ
ミドル級世界チャンピオンにもなった男。

何があってもダウンしない!
異常なほどの精神力で、自分の足で立ち続けることにこだわりを見せるジェイクだけど
でもその反面、精神的にとても脆いところがある人間だった。
この時代、八百長試合も横行していたようで、ジェイクもやむなく承諾することになるのだけど
彼はそんなことを器用にこなせる男じゃなかったんだよね。
そんなことが負担にもなったのか、やがては猜疑心から全てを失うことになる。
その転落の様子は悲しいものだったな。
 
25キロ増量したと言う、太ったデ・ニーロ演じるジェイクが
場末のバーでショーの前座のような仕事をしながらも持ち続けているのは
かつて世界チャンピオンだったという誇りなのか。
 
最後、『波止場』のセリフを暗誦するのはどういう意味があったんだろう。
って、『波止場』観なきゃだわね。
 
アホだよなぁと思うほどに不器用な男の生き様に哀愁を感じちゃったよ。
ジェイクの弟でセコンドを勤めるジョー・ペシもスコセッシ映画の常連として
役割をよく分かってるよね。いい味出してます。