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映画ノート

バージニア・ウルフなんかこわくない

 
 
『卒業』のマイク・ニコルズの初監督作品。
エリザベス・テイラーリチャード・バートンという当時実際に夫婦だった二人を主演におき
ある大学教授夫妻の愛と憎悪を描いた問題作です。

 
バージニア・ウルフなんかこわくない(1960) イタリア
監督:マイク・ニコルズ
出演:エリザベス・テイラーリチャード・バートン/サンディ・デニス/ジョージ・シーガル
【ストーリー】
ニューイングランドのある大学の構内に建てられた住宅に住む教授のジョージ(リチャード・バートン)とその妻マーサ(エリザベス・テイラー)。結婚23年目を迎えたこの夫婦の関係はすでに冷え切っており、ただののしりあうばかりの日々。そんな折、若い生物学教師ニック(ジョージ・シーガル)とその妻ハニー(サンディ・デニス)がジョージの家を訪れた……。
 
■感想
エリザベス・テイラー追悼に、録画済みの作品を続けて観ようと思っていたのだけど
実はこれ観るのに3日かかってしまって(^^;)、計画が狂いました。
まぁ、なんでそんなに時間がかかったかというと、
あまりに激しいののしりあい、恥部の探りあい的な展開に、
休憩を入れたくなったり眠くなったりしたからなのね。

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でもこれ、観終わってみたらかなり深かったのです。
 
凄いのは、一晩の会話を通して、
23年の夫婦生活の全てを暴き出してしまうところでしょうかね。
 
夫婦の不仲の原因は夫に大学総長の座がめぐって来ないことや
マーサのガミガミにあると思わせておいて、
途中から、あれ?そうじゃないかも と 気づかせる展開がうまいです。
 
キーとなるのは息子の存在
思えば二人は同じ悲しみを共有するもの同士。

冷え切った関係に見えて、実は激しく争うことで、精神の均衡を図っている
ラストに、マーサが本当の弱さを見せるシーンでは涙が溢れました。
 
多分次に観るときには、最初から泣けてしまうかもしれないし
前半退屈に観てしまった部分も、違う風に見えるだろうと思います。
 
だけど、そういう意味で、これ一度観て最初から全てを楽しめるものでなかったのは残念で
構成によってはもっとスッキリしたかもと思ってみたり。。
ウダウダ、ギャーギャーが長すぎたのも私には辛かった。
 
とはいっても、リズが卑猥な台詞をはき、夫を激しく罵倒するわけだから、それはそれで楽しいし
ドキドキのサスペンスと思えるような、緊迫した描写も面白かったですけどね。

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エリザベス・テイラーはこの演技で2度目の主演女優賞受賞
実年齢よりも上のマーサを演じるために、増量し老けメイクを施しています。
モノクロなのは、メイクのあらを隠すためだったとか。
リチャード・バートンは大学教授なのに毛玉の目立つセーターで哀愁を漂わせつつ
シニカルかつ迫力の演技でオスカーノミネート。受賞はしてないものの、やはりうまい。
 
若い夫婦の妻を演じたサンディ・デニスアカデミー助演女優賞受賞
ジョージ・シーガル助演男優賞ノミネートと4人とも演技を評価されてますね。
まぁ、かなりエネルギー消耗したと思いますもん。お疲れ~。