J・エドガー
今日も前に挙げた作品ですが、『Jエドガー』をDVDで再見したので
感想を新たに書きました。
J・エドガー
2011年(アメリカ)
原題:J. Edgar
監督:クリント・イーストウッド
出演:レオナルド・ディカプリオ、ナオミ・ワッツ、アーミー・ハマー、ジョシュ・ルーカス、ジュディ・デンチ、エド・ウェストウィック、ジェフリー・ピアソン、ジェフリー・ドノバン
【ストーリー】
1924年、FBIの前身である捜査局BOIの長官に任命され、35年にFBIへと改名した後も、72年に他界するまで長官として在任したJ・エドガーは、カルビン・クーリッジからリチャード・ニクソンまで8人の大統領に仕え、FBIを犯罪撲滅のための巨大組織へと発展させていった。しかし、多くの功績を残した一方で、時に強引な手腕が物議をかもし、その私生活は謎に包まれていた……。映画.comより)
FBIの前身時代から48年間、FBI長官として君臨したJ・エドガー・フーヴァーを描く物語。
48年の間に大統領は8人も代わったというのも凄い。
エドガーがかけだしの20年代は、共産主義者による爆弾テロが横行した時代。
エドガーは独自の捜査法で共産主義者を割り出し、多くを検挙し国外に送ります。
その後も強引な手法で犯罪を撲滅。
アメリカに平和をもたらしたのは、エドガーの存在があってこそ、
誰が忘れ去ろうとも、彼自身がそう信じて疑わなかったんですね。
映画はエドガーの業績とプライベートを時間軸を交差させ追いながら
捜査法の確立し、組織を強化していく若きエドガーと
過去の栄光に囚われ、時代に取り残されていく老いたフーヴァー長官の姿を映し出します。
情熱が傲慢や保身に変わっていく様子が鮮明で哀れを誘います。
ケネディとのシーンでその温度差は明らかで
エドガーを化石を見るようだったのが印象に残りました。
ただ、なんといっても48年というのは長い。
最初はその対比を興味深く見るのだけど、終盤は単調に感じてしまい、
映画全体のイメージを平坦にしてしまってた気がします。
エドガーを演じたレオナルド・ディカプリオはオスカー候補は逃したけど、熱演でした。
ナオミ・ワッツ、ジュディ・デンチ、アーミー・ハマーといった優秀な共演者との絡みで
イーストウッドらしいヒューマンドラマを構築していたのは見ごたえがありました。
トルソンを演じたアーミー・ハーマーは老後のメイクはゾンビで気の毒だったけど
トルソンとフーヴァーのクローゼットラブの描き方も適度だったのではないかな。
特に老後の二人の日常風景には切なさと穏やかさがあり
そこは自身も老いたイーストウッドならではの描き方だったかなぁと思ったり。
アメリカの平和と安全を支えてきたと自負するエドガーの孤独な最期は
ちょっと切なかったですね。