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映画ノート

ウェルズと切り裂きジャックの時空を超えた対決『タイム・アフター・タイム』

マルコム・マクダウェル主演、ニコラス・メイヤーが監督/脚本を努めたユニークな時空物SFです。


タイム・アフター・タイム 1979年(アメリカ)
原題:Time After Time
監督:ニコラス・メイヤー
出演:マルコム・マクダウェルデイヴィッド・ワーナーメアリー・スティーンバージェンチャールズ・チオッフィ


19世紀後半のロンドンでは、切り裂きジャックによる連続殺人事件が世間を騒がしていた。
科学者兼作家のH・G・ウェルズが友人らに自ら発明したタイムマシンをお披露目した夜、切り裂きジャックを追う警察がウェルズの門を叩く。家の付近でジャックを見失ったというのだ。ところがウェルズが警察に対応する間に、地下室のタイムマシンが忽然と消えた。なんと友人の一人が切り裂きジャックで、タイムマシンで20世紀に高飛びしたのだった。責任を感じたウェルズは、友人を追うべく、タイムマシンへと乗り込んだ。



『タイムマシン』『透明人間』などのSFで有名なH・G・ウェルズは本当にタイムマシンを発明しタイムトラベルをしていた!とする発想が面白い作品です。
しかも同じ時代の有名人(?)、切り裂きジャックと組み合わせるところがユニーク!

タイムトラベルものの面白さはまずカルチャーギャップにありますね。
本作も19世紀のロンドンから現代のサンフランシスコにやってきたウェルズ(マルコム・マクダウェル)がシャーロックホームズ風のいでたちで、近代文明に目を丸くする様子が楽しい。

お腹を空かせマクドナルドに行くシーンでは、前の客を観察し声音まで真似て注文するんですがw
飲み物はコークではなく紅茶! 
これは譲れない。
時代だけでなく、アメリカとイギリスのカルチャーギャップまで描いています。



時代変われば女性も変わる。
本作でウェルズを助けるヒロインメアリー・スティーン・バージェンの奔放な積極性に、最初は引き気味だったウェルズが次第に惹かれていく。切り裂きジャックと係わることで当然ヒロインにも危険が迫り彼女を救いたいと思うウェルズが愛情を確信していく様子も自然です。

科学者でもあるウェルズが、その旺盛な好奇心で何でも深く観察する様子も楽しい。
それが後にハラハラなアクションへと生かされるのも上手いところです。

ウェルズは未来に楽園を夢見、切り裂きジャックは未来を悲観していた。
その違いが2人の人生を決定付けたかもしれませんね。

欲を言えば、ヒロインの危機をもう少しドキドキに見せて欲しかった。
しかし、世間を騒がせた切り裂きジャックが突如姿を消したのはこういうわけだったのか とか、
ウェルズが後に奇想天外なSF小説を次々に発表したのは未来を見てきたからに違いない 
などと考えるのも興味深いし、素敵な奥様をパートナーに迎えたことも大きいかもね・・・なんて、
おっと、ネタバレしそうなので、ここらへんで。

ロマンスとしても素敵な、時空ものサスペンスの秀作です。


★★★★