しまんちゅシネマ

映画ノート

ビルの21階から涼もう!『崖っぷちの男』

暑さを吹き飛ばせ!涼しくなる映画特集、第2弾は
偽装自殺を企てた男の命懸けの戦いを描く『崖っぷちの男
高いビルからのスリリングな映像で涼みましょ。





崖っぷちの男
2012年(アメリカ)
原題:
Man on a Ledge
監督:アスガー・レス
出演:サム・ワーシントンエリザベス・バンクスジェイミー・ベルアンソニー・マッキー



ビルから自殺を図ろうとする男サム・ワーシントン
眼下に野次馬たちが集まり、テレビが中継を始める。
しかし男はすぐには飛び降りず、交渉役に女性刑事を指名。
休暇をとっていたリディア(エリザベス・バンクス)が呼びだされた。

映画はリディアとの交渉を通じ、この男の正体を徐々に明かし
同時に向かいのビルで着々と実行される作業をサスペンスフルに見せる作り。
これがあることを証明するための、男の命がけの挑戦であることがわかってきます。

まずは、ビルの外に立つワーシントンの姿に「え?それマジ?」でしょ。
実際にはワーシントンには安全ベルトが装着されており
アップのシーンはステージに組まれたセットでの演技とのこと。
それでも、ビルから通りを見下ろす映像も、引きの映像も本物で
トム・クルーズは別としてw誰にでもできる役じゃない。

ただね、ビルに主人公を張り付かせるという世紀の取り組みでありながら、
その緊張が思いのほか伝わらない。
アクションスター、ワーシントンに不死身を感じるからか
はたまた演技がしょぼいのか(汗)
ビルにいる本人が怖そうにしてないのに、観客は怖がれないよね。

加えて、色々に無理があるとこころが気になります。
今時ホテルにクレジットカードの提示なしに泊まれるとは思えないし
第一男のシチュエーションで、ノーマークでホテルに入れるとも思えない。
そもそも葬儀の場で、武装した警官2人から逃れる場面も甘すぎる、などなど。

でもそんな「無理」に目をつぶれば、
結構細かいところで作りこんでいることにも感心するんですよ。

見終えて思うのは、悪と善は表裏一体であるということ。
飛び降り自殺者の心配をしながらも、ショー的に楽しむ通行人、
ビルにヘリコプターで接近し、男を吹き飛ばさんばかりのアホテレビ局。
登場人物の本性も明かされる中、根本の善に少しだけホッとさせてくれるのは気持ちよかった。
最近大活躍のまっちゃんこと、アンソニー・マッキーは適役でした。

飛ぶぞ飛ぶぞと煽りながら、結局空振りに終わらせたら
通りの野次馬だけでなく、観客も納得しないはずですが
そこはキッチリ方をつけてくれたのは天晴れ。
サム・ワーシントンの面目躍如。
ま、それにもキョトンとしてしまいましたが(笑)
ツッコミどころも含め楽しめたのでよしです。


★★★☆