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映画ノート

素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー~





素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー (2012)アメリ
原題:Robot & Frank
監督:ジェイク・シュライアー
出演:フランク・ランジェラスーザン・サランドンジェームズ・マースデンリヴ・タイラージェレミー・シストピーター・サースガード(ロボットの声)
日本公開:8月

70歳のフランクは息子から、心と体の健康を改善するためにプログラムされた歩いて話せる介護用人型ロボットをプレゼントされる。最初はロボットに対して嫌悪感を抱いていたが、健康的な食生活や適度な運動をするようにアドバイスされ、次第に生活を改善、健康に。そして、かつての仕事、宝石泥棒への意欲も取り戻していく。(Movie Walkerより)

 近未来を舞台に老人と介護ロボットの交流を描くお話です。
フランク爺さんにフランク・ランジェラ。宝石泥棒の前科もあり、妻とは30年前に離婚。身の回りのことはできるが最近は少し物忘れが始まった様子。一人暮らしの父を心配し息子(ジェームズ・マースデン)が買い与えてくれたのが二足歩行のロボット。フランクは徐々にロボットと交流を深めていく。

 ピーター・サースガードが声を担当しているアシモ型のロボット、彼はお掃除やお料理もしてくれるし、脳の活性になればと、フランクが趣味の宝石泥棒のプランをすることも容認する。とにかくフランクとロボットのやり取りが楽しくて微笑ましい。ところが、見終わった瞬間の感想は、「ちょっと期待はずれ」。理由は、結局は「家族の物語」に終わったまとめ方に見えたから。そうなると「モラル的なことはどうなんだ」とか、細かいところが気になってきます。

でも終盤のフランクの表情を思い出し、ふとある結論に至りました。

以下、映画の内容に触れるので、できれば鑑賞後に読んでいただければと思います。





   フランクはロボットを宝石泥棒の相棒に調教します。しかし終盤、フランクはあることからロボットのメモリーを全て消去することを余儀なくされます。

 パソコンと同じで、メモリーを消去しても、再起動させ新しく学ばせていけばロボットはまた同じようにフランクの相棒になれるはず。けれどフランクはそうしなかった・・。彼はロボットを違法なことに巻き込んでしまったことを悔やんだのでしょう。何より、「ものを忘れること」の哀しみを誰よりも知っているフランクが、ロボットにその哀しみを与えたことを後悔したに違いありません。

 タイトルがロボットとフランクであることを考えると、これはシンプルにフランクとロボットの友情のお話と捉えていいのかな。遠くにいて心配だけしてくれる家族よりも、近くで本気で向き合ってくれるロボットはフランクにとって最高の友人だった。家族のことを全て忘れても、ロボットのことは決して忘れないだろうな。でも、本当にフランクに必要なのはやっぱり生身の人間のはずだよねぇ。と思うとちょっと切ない。

★★★★