しまんちゅシネマ

映画ノート

キャリー(2013)




「復讐を描く映画」シリーズにくくるわけにはちょっといかないですが
リメイク版の『キャリー』を観てきたので書いておきます。
キャリー(2013)アメリ
原題:Carrie
監督:キンバリー・ピアース
出演:クロエ・グレース・モレッツ、 ジュリアン・ムーア、 ジュディ・グリア 、 ポーシャ・ダブルデイ、 アレックス・ラッセル、 ガブリエラ・ワイルド、 アンセル・エルゴート
日本公開:2013/11/8
 
クロエちゃんがキャリー演じるというので早くから話題になってましたね。

デ・パルマ版のキャリーは誰もが認める傑作ですが
本作も十分面白く、見ごたえのある一本に仕上がってます。

まず人物の心理描写が丁寧になってますね。
例えばスー。
自分のボーイフレンドのトミーにキャリー(クロエ・グレース・モレッツ)をプロムに誘うように仕向ける
結果的にそれが大惨劇を引き起こすことになるという皮肉も本作の持ち味ですが
オリジナルでは分かりにくかったスーの真意(何故トミーにキャリーを誘わせるのか)がスーの言葉で説明されてます。



あと、母親の内面の葛藤の描き方も丁寧。
オリジナルでは宗教にどっぷりで高圧的だった母親が、本作では神経症的に脆く、だからこそ怖い。
ジュリアン・ムーアが不気味でうまいです。
キャリーとの関係も抑圧ではなく、むしろキャリーは壊れゆく母親を守るために従順でいるという風。


まぁ、説明が丁寧なのがいいのか悪いのかは分かりません。
デ・パルマ版では、あいまいな部分を想像するのも楽しかったし
前半の意味なしのお色気シーンと壮絶シーンのギャップなど、不完全さに完全を感じたりしたしね。

完全といえばオリジナルのシシー・スペイセクのキャリーは完璧で
プロムでひと時の幸せに涙をにじませる彼女の姿を忘れられません。
クロエちゃんは可愛すぎて、爪弾きもののキャリーに重ねることにそもそも無理を感じるところで
キャリーの儚い青春恋物語としての趣を出すのは難しかったと思います。


しかし本作はクライマックスが凄いですよ。
勿論CGで破壊力が増しているのも確かだけど、それだけじゃない。
早いうちから力を身につけたキャリーが化け物と化して破壊しまくる姿が壮絶すぎて悲しいんです。
『キックアス』や『モールス』で異型なものを演じるクロエちゃんだからこその存在感もあり彼女は新時代のキャリーにふさわしいかもしれませんね。

監督は『ボーイズ・ドント・クライ』『ストップ・ロス/戦火の逃亡者』のキンバリー・ピアース
なるほど、手堅いわけだ。
あ、でもトミーは金髪巻き毛でお願いしたかった(笑)