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映画ノート

【映画】 フォーリング・ダウン:「滝汗サスペンス映画100」制覇シリーズ




フォーリング・ダウン(1993)アメリ
原題:Falling Down
監督:ジョエル・シューマカー
出演:マイケル・ダグラスロバート・デュヴァル/ レイチェル・ティコティン/ フレデリック・フォレスト/ チューズデイ・ウェルド/ ロイス・スミスバーバラ・ハーシー
ストーリー

ロサンゼルス。真夏の太陽にさらされた灼熱のハイウェイで、道路工事による大渋滞が発生。これに巻き込まれた中年男性は、エアコンや窓の故障、車内に入り込み飛び回る蝿に苛立ちを募らせる。業を煮やした彼は遂に車を乗り捨て、問いかける他のドライバーに対して「家に帰る」と言い残し、道路から立ち去った。彼の、怒りに満ちた大暴走が始まる。(wikiより)




映画秘宝から必修科目シリーズ9弾目となる「滝汗サスペンス映画100」が出たようですね。
未読ですが、ネットで拾ったラインナップのうち、未見あるいは記事にしてない約20本について、こちらとあちらで順次感想をあげていきたいと思います。

まずは、ジョエル・シューマカー監督、マイケル・ダグラスが切れた角刈り男を演じて衝撃を与えた『フォーリング・ダウン

夏のロサンゼルス。
周囲ではベトナム帰りらしい浮浪者たちが、職や食べ物を求めプラカードを掲げるハイウエイで渋滞に巻き込まれた角切り男ビルがうだるような暑さの中イライラを募らせていく。
やがて男は車を降りハイウエイを後にするという暴挙に出るんですが、尋常でない主人公を緊張感たっぷりに紹介しつつ、社会に漂う空気をも一気に見せるこの冒頭のシークエンスがまず秀逸です。
背筋を伸ばしたその姿からだけでもストリクトな生真面目が漂うわけで、いやはやマイケル・ダグラスってこんなにうまい役者だったっけ。 再見するまですっかり忘れていたのが、この日定年を迎えた刑事のロバート・デュヴァルのエピソード。あることからデスクワークに甘んじていた彼は、仕事仲間からも馬鹿にされる存在。 しかし、ハイウエイを立ち去るビルをたまたま目撃していた彼は、やがて周辺で起きる一連の事件とビルとの関連を疑い始めるんですね。 誰も話を聞こうとしない中、犯人を追おうとするデュヴァルそれまで封印してきた情熱と使命を刑事生活最後の日に蘇らせるデュヴァルの姿に、観ているこちらは緊張。ダグラスとデュヴァル、二人の対決はやがて大きく明暗を分けることになるのだけど悲しい過去にとらわれたもの同士だからこそ分かち合う思いに、クライマックスは哀愁とともにある種の爽快感を感じました。


要所要所に差し込まれるアイロニーに満ちたユーモアも楽しく、うん、これほんと面白かった。