しまんちゅシネマ

映画ノート

【ネタバレ】『肉』これでいいのだ!




感謝祭関連
連日ハートウォーミング・コメディでは芸がないので今日はホラーで!
これが「家族と食事」というテーマにぴったりなんだな(笑)

(2013)アメリ
原題:We Are What We Are
監督:ジム・ミックル
出演:ビル・セイジ フ/ アンバー・チルダーズ/ ジュリア・ガーナー/ ジャック・ゴア/ ケリー・マクギリス/ ワイアット・ラッセル/ ニック・ダミチ



終末期ゾンビホラー『ステイク・ランド 戦いの旅路』のジム・ミックル監督が、メキシコ産ホラー『猟奇的な家族』(2010)をリメイクしたカニバルホラーな一作です。


舞台はニューヨーク北部の田舎町
50年ほども時代から取り残されているようなこの土地に暮らすパーカー家の美しい姉妹は
母親エマの突然の死により、ある変化を余儀なくされています。
今まで母親の仕事だった「例のこと」をどうするか。
それはまだ10代の姉妹にはあまりに荷が重いことなのです。



まぁその「例のこと」とは、一家にまつわる忌まわしい慣習のことなんですが
恐ろしいことに彼らは先祖代々から人を食べるという伝統を引き継いできてるんですね。
食べるためには人を殺さなければならないわけで
一家は長い年月にわたり、誘拐殺人を繰り返してきた。
そして母なき今、料理という役割が姉妹に回ってきたわけです。



寒村の閉塞感と、諦めややりきれなさを漂わせながら葛藤する姉妹が文句なしに美しい。
しかも何が起きるんだろうと不安を煽られ、じわじわと怖いんですよね。
そんな中、あることから一家の秘密に近づく者の存在により緊張感が増してくる。
淡々とした中、突如スラッシャーなシーンを挟んでくるホラー演出もニクい。
カニバリズムを病気と関連付けているところも個人的には興味津々でした。

寂れた中に独特の美しさと落ち着きがあって想像したよりもうんと面白く、思わぬ拾い物でした。
ただ、filmarksのレビューをちらりと見てみたら、わけがわからんと書いてる人が多いのね。
好みはそれぞれだと思うけど、意味がわかりにくいのは邦題のせいもあるかな。
本作の場合は原題に映画の言わんとすることが集約されてる気がします。

原題はWe Are What We Are
バカボンのパパ語に直すと「ワシはワシなのだ!」ってこと。
ラストシーンはビックリ通り越して痛快さに笑ってしまった。
「これでいいのだ!」

あ、でも隣人のおばさんを演じたケリー・マクギリスさんはちょっとヤバいよ(笑)