【映画】傷だらけの栄光
今日も若き日のニューマン目当てに、彼が初めて主演を任された本作を観てみました。
貧しい生活からのし上がり、ミドル級のタイトルを獲るまでに至った実在の ボクサー、ロッキー・グラジアノの半生を描く伝記映画。
監督はロバート・ワイズ。アカデミー賞では撮影賞と美術賞を受賞しています。
ロッキーと聞くと、どうしてもスタローンの『ロッキー』を思い出します。
イタリア系移民の青年、無名の素人が頂点を目指すという点など、類似点はあるものの、スタローンがこのロッキー・グラジアノをモデルにしたのかはわかりません。
ニューマン演じるロッキーはボクサー上がりのアル中の父親に粗野に扱われながら、貧しい暮らしの中生きるために仲間とこそ泥を働く不良青年。そんな彼が服役中面会に来た母の言葉に開眼し、全うな道を目指すために偶然選んだのがボクシングだったんですね。
そもそもはジェームズ・ディーンが演じるはずのところ、急逝によりニューマンに白羽の矢が立ったとのこと。ワルだけど心根は優しく、どこかあっけらかんとしたキャラはディーンよりニューマンが合ってる気がします。
不良を演じていても陰にこもり過ぎず、コミカルな演出にもニューマンのキュートな部分が生かされてました。
ボクシングのことはよくわからないけど、最初は腕っ節の強さだけが目立つ荒削りのボクシングから、時間の経過と共に「らしく」なっていったし、映画出演2本目の駆け出しながらニューマンは違和感無くボクシングシーンもこなしています。
モノクロの街並み、ボクシングシーンのアングルなど、撮影賞受賞の映像もいい。
原題の意味合いとしては、どこかで誰かがちゃんと見て、愛してくれているといった感じかな。
ロッキーが更生するきかっけになった母の一言、ロッキーを支えた妻と家庭など、半生をスピーディに展開させながらもドラマ部分もきちんとおさえ、スポーツ映画とドラマをバランスよく配しているのは名匠と言われたワイズの手腕でしょうね。
誰もが貧しい時代。どうしようもない不良だったロッキーが英雄となって、貧民街に暮らす人々に希望を与えるさまが爽やかで、ペリー・コモの歌う主題歌もよかった。
ちなみに街のワル役で、本作が映画デビューのスティーヴ・マックィーンがチラリと登場します。