しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】アリスのままで

明日(・・あ!もう今日か)はいよいよアカデミー賞発表ですね。
作品賞も前哨戦完全に割れてるし、どうなるか楽しみ。
ジュリアン・ムーアが主演女優賞有力とされる『アリスのままで』を観ました。




アリスのままで(2014)アメリ
原題:Still Alice
allcinemaデータ

ジュリアンが演じるのは言語学者であり、大学教授の50歳のアリス。
エリート一家で公私共に充実した暮らしを送るアリスですが、公演中ある一つの言葉がすっとんでしまったことを契機に、彼女の中で異変が起こり始めます。不安に思ったアリスは病院を受診。アルツハイマーと診断されてしまうのです。

アルツハイマーを扱った他の映画を見ていたのと、ジュリアンが上手く演じるであろうことも容易に想像できたこともあり、正直あまり気乗りがしないままに劇場に足を運んだんですが、いい意味で想像を裏切られました。

前半はアリスの異変に回りも気づくんじゃないかと妙にドキドキ。
誰よりも「言語」に通じていたアリスの中から言葉がひとつふたつと抜け落ちていくのは本当に残酷です。でもアリスは苦悩するだけでなく、「抗い、闘う」ですね。
その力強さと、アルツハイマーに目いっぱい立ち向かう姿がまず新鮮。
やがて誰の目にも異常は見て取れるようになるんですが、
病気が進行していく様子を繊細に演じたジュリアン・ムーアは本当に上手い。

発症初期のアリスと病状が進んでからのアリスが同時に映し出されるある場面では、その対比にハッとさせられました。
聡明で美しく、誰からも愛され敬われる存在だったアリス。
病気が外観を変えてしまうけど、アリスの本質が変わるわけではない。
原題にはそんな意味が込められてるんでしょうね。
言葉や思い出、尊厳・・
アリスが失おうとしているものがいかに掛け替えのないものであるかを思い知らされたというのかな。失いたくないものだからこそ大事にしなくちゃいけないと教えてもらった気がします。


夫役にアレック・ボールドウィン
二人の娘にケイト・ボスワースとクリスティン・スチュワート

アリスが公演でスピーチするシーンは最大の見所。
共同監督のお一人はALSで闘病中だと聞き
アリスの言葉にご自身の思いを重ねたのかなぁと思ったり。

アリスの記憶が失われる様子をボカした映像で見せているのが面白い。
音楽の美しさも印象に残りました。

日本公開は6月です。