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映画ノート

デイミアン・チャゼルのお薦め『街の灯』(1931)

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今年、オスカーに一番近い作品『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督がクラシックチャンネルのゲストプログラマーとして登場し、お勧めの作品4本を解説した。
ラ・ラ・ランド』に影響を与えた部分なども語ってるので動画とともに掲載しておく。
まずはチャーリー・チャップリンの1931年の名作『街の灯』。





コメントで印象に残ったのは、監督にはこの作品がミュージカルに感じると言っていること。
そういわれて見直すと、確かにそんな気がしてくるし、どことなく『ラ・ラ・ランド』に似ている。

チャゼルが熱弁する花売り娘とチャーリーの出会いのシーン
娘はチャーリーが車から降りてきたと思っているから、たまたま持ち主が戻ってきて車が走り去る「音」から、娘はチャーリーがお釣りも受け取らず車で去っていったと勘違いした。チャーリーを高級車に乗ったお金持ちと思い込んだのだ。
そんな娘の様子を見て、チャーリーは娘の憧れる「お金持ち」を演じようとする。

映画の中で観客には聞こえない「ドアが閉まり、車が走り去る音」が、全ての状況を作り上げ、
そこに言葉は要らないんだと興奮気味に語るチャゼルに、映画とはこう見るものなのだと気づかされる。

時に映画は言葉であふれかえり、字幕を必要とする日本人には文字を追うだけで手いっぱい。
例えば『街の灯』のラストシーンがそんな況だとしたら、花売り娘がチャーリーの手を取り、自分の胸に近づけるしぐさに気づくことができただろうか。

ラ・ラ・ランド』が本作に似てるかもと思ったのは、言葉以外の方法で伝える力の大きさによるものだろう。
「丹念かつ完璧に作り上げられていながら、街角で本当にそういうことが起きていると感じさせるほど自然」という部分も共通している。




映画データ
原題:City Lights
製作国:アメリ
監督/脚本:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリンThe_Vagab_nd
          バージニア・チェリルThe_Blind_Girl
         フローレンス・リーHer_Grandmother
          ハリー・マイアーズThe_Excentric_Gentleman
         アラン・ガルシアThe_Butler