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映画ノート

【映画】夕陽の群盗

 
夕陽の群盗
Bad Company
 
 
大好きな『プレイス・イン・ザ・ハート』のロバ―ト・ベントン監督の初監督作品。
南北戦争の時代を背景にしたニューシネマのウエスタン青春映画です。
冒頭、女装した青年が民家から抱え出され、抵抗むなしく牢屋仕様の馬車に叩き込まれる。
徴兵を逃れようと変装して身を隠していた若者が軍に連行される光景だ。
 
良家の息子ドリューの元にも軍がやってくるが、うまく隠れた。両親に別れを告げ西に向かう。
 
軍に見つかれば兵役、軍以外のものに捉えられれば処刑。絶望的な状況のはずなのに、ドリューの足取りは軽い。彼は新しい人生に希望を感じウキウキしてさえいる。
しかし間も無く、ジェイクというアウトローの青年と出会い金を盗まれてしまう。やがて二人は再び出会い、ドリューはジェイク率いる窃盗団と行動を共にすることになる。
 
ニューシネマに分類される映画ということで、悲惨な結末にビクつきながらの鑑賞となったが、思ったものとは若干違った。けれどもこれもニューシネマなんだな。
 
窃盗団と行動を共にしても、自分は悪には染まらないと信じていたドリュー。しかし彼も生き延びるため変わっていく。
今の時代なら心の弱さを嘆きもするが、この映画が作られた70年代前半には、体制に歯向い、アウトローへと成長を遂げる若者の姿は共感を呼んだのだろう。
 


ジェイクを演じるのはジェフ・ブリッジス。育ちの良さが滲むドリューとは正反対のアウトローをナイーブに演じている。二人反目しながらも、互いに無いものを認め合うような絆が生まれていくのがいい。
 
ベントンの演出は、最年少の少年の脳みそをぶっ放すなど容赦ないところがあるが、それもまたリアル。
一方、引きの画面は美しく、刹那な時代の青春ものとして感じ入るものがあった。
 

映画データ
製作年:1972年
製作国:アメリ
バリー・ブラウン
ジュリー・ハウザー